今回は、Xcodeの操作方法について説明します。Xcodeのプロジェクトファイル、iOSシミュレーターやデバッガの概要を解説します。合わせてiOSアプリを開発するときのおおまかな流れと、iOSアプリ開発に用意されているテンプレートについても説明します。

 この連載では企業で使うiOSアプリとしてiPadで動かすアプリを想定しています。iPadは大画面でバッテリー駆動時間も長く、客先でのプレゼンテーションに向いています。これらの特徴は業務マニュアル用アプリにも向いています。連載の最後に画像と説明テキストを表示する簡易カタログアプリを作ります。

iOSアプリを作成するとき、最初に決めるべきこと

 開発にあたって、おおまかな流れと、最初に決めることを説明しましょう。開発作業のおおまかな流れは次のようになります。基本的には一般のアプリ開発と同じです。

1)テンプレートでプロジェクトを作る
2)主要UIとコードを記述する
3)状態変化に対応する処理を追加
4)画像など必要なリソースを作成
5)アプリ特有の動作を実装(必要な設定やデータの組み込み)
6)性能や操作性を確認し最適化する(シミュレーターや実機で確認)

 そして、iOSの場合は、以下のポイントを最初に決めておきます。

・アプリの基本的UIスタイル:具体的にはどのテンプレートをもとにするか
・iPad専用、iPhone専用、または両方対応か
・UIの実装にストーリーボードを使うかどうか
・「Core Data」を使うかどうか

 ストーリーボードはXcodeが利用するファイルの一つで主にUI部品の配置状況と画面遷移の情報を保存します。このデータはSwiftに限らずObjective-Cの場合も共通です。ストーリーボードの内容はXcode内蔵のInterfacebuilderで編集します。UI部品の位置とサイズや各パラメータを設定し保存すると、アプリからそれらのUI部品オブジェクトをコーディングなしに利用できます。プロジェクトにアプリ起動時に読み込むストーリーボードファイルの設定があり、そのストーリーボードが起動時に読み込まれ、保存された各オブジェクトのインスタンスが作られ実行を開始します。ストーリーボードをうまく使うとUIの骨格はコードをあまり書かずに確認が可能な場合も多く、開発効率が高くなります。

 Core DataはMVCデザインパターンのモデルオブジェクトをファイルに保存したり、復元したりするのに役立つデータベース的なフレームワークです。アップルのiCloudとの親和性もあり、XcodeはCore Dataデータモデルをグラフィカルに扱うツールも搭載しています。