今回は、iOSアプリの開発に欠かせない、アップルが提供する開発環境「Xcode」と新機能のSwift実行環境「Playground」について説明します。

 Xcodeはアップルが無料で提供するIDE(Integrated Development Environment)です。エディター、コンパイラ、リンカ、iPhone/iPadシミュレーター、ソースレベルデバッガ、テストツール、バージョン管理、UI設計ツール、クラスブラウザーやドキュメントブラウザー、アイコンなどのリソース管理などが統合されたアプリです。Xcodeの実行には対応するバージョンのOS Xが必要で、もちろんMac本体も必須です。

 なおXcodeとは別にOS XにはデフォルトでターミナルがインストールされていてUNIXコマンドラインツールも利用できます。ソースコード管理で細かな操作が必要になった場合などすぐに対応可能です。

Xcodeのバージョンの意味

 OS Xのアプリケーションは「バンドル」と呼ばれるパッケージに収められています。バンドルは、一見、一つのファイルのように見えますが、実際には、それを開くとディレクトリ構造になっていて、いくつかファイルやディレクトリが収められています。Xcodeの場合は、ライブラリやドキュメントそれにシミュレーターなどの開発ツール、コンパイラやgitなどのUNIX実行ファイルも含まれていて、サイズは5Gバイトを越えます(写真1)。つまりXcodeのバージョンでライブラリなど、開発環境のバージョンが決まります。バージョンによって利用できるライブラリが変わってくるため、開発できる言語環境やターゲットとなるOS XやiOSのバージョンも違ってきます。

写真1●「Xcode」の中身
写真1●「Xcode」の中身
コンテクストメニューで「パッケージの内容を表示」を選択すると「Contents」フォルダーが現れ、さらに開くといくつかのフォルダーが表示される
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 ちなみに、Swiftが利用可能なのはバージョン6からです。2015年3月20日現在正式版の最新バージョンは6.2です。

 Xcodeのバージョンは実行するOS Xのバージョンに影響を受けます。つまり、新しいXcodeは新しいOS Xが必要です。古いXcodeが新しいOS Xでは問題が発生することもあります。開発したアプリを長くメンテナンスするためには、新しいXcodeで必要な修正を施し、発生する大小の問題を修正し再テストしながら更新するか、リリース時の環境をアプリのライフサイクル期間中確保し続けその環境でバグ対応と機能の追加を行うか、方針を選択しなければなりません。