データ通信専用の「格安SIM」とセットで使うスマートフォン(スマホ)を、端末そのものの性能向上や価格下落、Officeソフトのスマホへの開放、外部ディスプレイへの出力インフェースの充実といった変化を受けて、パソコンに代わる、「スマートコンピュータ」として使う環境が整ってきた。

 MVNO(仮想移動体通信事業者)各社は大手携帯電話会社と違って、自社独自の端末は持たない。SIMフリーなスマートフォンを内外のメーカーから調達してSIMとセットで提供したり、動作確認したSIMフリースマホを公開したりしてユーザーが端末を購入する便宜を図っている。その結果、SIMフリースマホの認知度が一気に高まった。

 第1回で紹介したように筆者の妻はSIMフリースマホにデータ専用SIM(SMS付き)を挿入して利用している。電話は月額1300円のガラケーを使っている。もともとSIMフリースマホはLINEやGmail、アプリを使うのが目的であり、スマートフォンならぬスマートコンピュータなのだ。

 これは筆者の妻に限ったことではない。インターネットイニシアティブ(IIJ)によると、最近のSIMカード購入者の半分は音声サービスのないものだという。その用途の内訳は不明だが、SIMフリースマホに挿して使うユーザーはかなり多いと推定される。

 企業においてもSIMフリースマホを「コンピュータ」としてどう活かすかは大事なテーマだ。

広がるコンピュータのユーザー層と用途

 どんなモノも低価格化が進むと、それを使うユーザー層が広がり用途も増える。中でもコンピュータほどこの数年で低価格化と高性能化が進んだものはない。例えば、オフィスの工事現場を見てみよう。現場の打ち合わせには建築会社や電気設備会社、ネットワーク設計・工事会社、内装会社などが集まる。ほんの2~3年前まで会議の出席者は皆、紙の図面を持っていた。紙は重いし、汚れるし、破れる。