商業施設や役所などの問い合わせ窓口には、様々な人が訪れる。中には、込み入った内容もある。外国人を相手に、複雑な内容の問い合わせに応えるのは容易なことではない。そこでサポート役として活躍し始めているのが、タブレットである。
東京都北区では2013年から、戸籍住民課の窓口で、テレビ会議の仕組みを用いた通訳サービスを導入している。タブレット越しにネット経由で各言語の通訳者を呼び出し、戸籍住民課の職員と外国人住民とのやり取りを通訳してもらう(写真1)。
低コストで多言語対応を実現
通訳サービス導入のきっかけとなったのは、住民基本台帳法の改正である。2012年7月の施行以降、外国人も住民票の登録が必要になった。その結果、戸籍住民課の窓口にも外国人住民が訪れるようになった。これまでは外国人登録係が外国語を話せていればよかったが、それだけでは足りなくなった。職員の多くが不安を感じていた」(東京都北区 区民部戸籍住民課 唐沢啓子課長)。
戸籍住民課では、中国語を話せる職員一人を既に雇用している。週4日はその職員が待機し、中国系住民とのやり取りをサポートする。これを他の言語まで広げようとすると、各言語担当のスタッフをそれぞれ新たに雇用する必要があり、「財政的に厳しかった」(同区 区民部戸籍住民課 戸籍住民主査 村山武久氏)。
その点、通訳サービスならコストを抑えられる。戸籍住民課では5台のタブレットでこのサービスを契約しているが、1年間にかかる費用は約120万円。この金額で、何度でも利用できる。対応言語も、英語、中国語、韓国語、スペイン語、ポルトガル語と広い。