訪日外国人を集客する上で、ネットでの情報発信は欠かせない。どこを訪れるか、何を食べるか。訪日前も訪日後も、多くの外国人がスマートフォンなどを使って情報収集をしている。
Webサイトやアプリを活用して、多言語での情報発信に力を入れる企業も増えている。大企業はもちろん、「地方の観光組合などからの問い合わせが一気に増えており、裾野が広がっている」(翻訳システムの開発/販売を手掛ける八楽の坂西優代表取締役)。集客だけでなく、リピーターを増やすための取り組みも始まっている。
訪日前から帰国後まで、Webで旅行者とつながる
箱根、江ノ島・鎌倉など外国人に人気の観光スポットを沿線に持つ小田急電鉄。多言語での情報発信に、早くから力を入れてきた。2007年から、英語、中国語、韓国語に対応するWebサイトを公開。2013年には大幅リニューアルを実施した。外国人旅行客の急増も手伝い、「アクセス数は大幅に伸びている」(小田急電鉄 CSR・広報部 斉藤庸介氏)。
リニューアル後のWebサイトには、観光地別のモデルコースを用意するなど情報を充実させている。さらに、アクセス元のIPアドレスが国内か国外かで、表示するページを切り替える仕組みを盛り込んだ。「訪日前と訪日後では、必要な情報が違う」(斉藤氏)からだ。訪日前は旅行の計画を立てるために使われることが多いため、観光地の特徴を中心に訴求する(画面1)。訪日後は、現地へのアクセス方法など実用的な内容にたどり着きやすくしている(画面2)。
言語によっても、コンテンツの表示方法を変えている。Webサイトのリニューアルに当たってユーザー調査を実施したところ「(来訪者の)国によって求めるものが異なることが分かった」(小田急エージェンシー コミュニケーションデザイン局 ICコミュニケーション部 吉村寿恒シニアマネジャー)。例えば「中国人向けには江ノ島を目立つように表示する」といった工夫をしているという。