データ連携編 安定したネットワークが大前提
ネット越し連携を減らす手も

 AWSの活用を進める過程で、新規に構築したり移行したりしたAWS上のシステムと、オンプレミス環境のシステム間での「データ連携」は欠かせない。アイレットの吉田真吾氏(cloudpack事業部 エバンジェリスト ソリューションアーキテクト)は「システム間のつながりが複雑になるので、想定外の事態が起こりがちな要注意ポイント」と指摘する。

 東急ハンズとミサワホームの事例から、想定外を乗り越えるポイントを見ていこう。

東急ハンズ 常時稼働に向けて専用線を二重化

 AWSの専用線接続サービス「AWS Direct Connect」を使うと、最大10Gbpsの専用線でAWSとオンプレミス環境を接続できる。一見するとこれだけの帯域があればデータ連携の問題は起こらないように思えるが、そこに“想定外”が潜んでいる。

 東急ハンズは2012年12月にECサイトサーバー、2013年5月にPOS(販売時点管理)サーバーをAWSに移行した。それに伴い、商品を販売するたびに、AWSとオンプレミス環境でデータ連携が発生することになった。会員顧客のポイントカードを管理するポイント管理サーバーをオンプレミス環境に残したからだ。

 システム子会社であるハンズラボの今井智明氏(イノベーショングループ ITエンジニア)は「商品販売時にポイント付与の処理が発生する。その際、POSサーバーやECサイトサーバーがポイント管理サーバーとデータ連携しなければならない」と説明する。