まずはAWSの標準機能を活用
外部ツールで標準サービスを補う

 AWSはSLAの稼働率が99.95%の仮想マシン(EC2)を提供する。これを使って可用性を高めたり、障害復旧時間を短くしたりするのは、ユーザーの責任だ。全農ビジネスサポートとガリバーインターナショナルの事例から、可用性を高めるノウハウを学ぼう。

全農ビジネスサポート ディスク障害から復旧は1時間

 「よく誤解されるが、AWSはアウトソーシングサービスではない。可用性を高める基盤設計を個別に行わなくてはならない」。SCSKの白川正人氏(ITマネジメント事業部門 基盤インテグレーション事業本部 クラウドインテグレーション部 クラウド基盤サービス課長)はこう強調する。実際、可用性を高める工夫なしにAWSを導入し、ハードウエア障害が発生する頻度について“想定外”と捉えるケースがあるという。

 AWSでは、可用性を高めるための仕組みが多数用意されている。それらを活用する全農ビジネスサポートの例を紹介しよう。

 全農ビジネスサポートは、高い可用性が求められる会計システムについては、仮想マシン(EC2)2台をホットスタンバイ構成にしている。勤怠管理システムや地域別の販売管理システムは、割り切って仮想マシン1台で運用している。

 村島佳巳氏(情報サービス事業本部 グループ関連システム部 ソリューショングループ グループリーダー)は「可用性に対する考え方はオンプレミス環境と同じ。ハードウエア障害が発生する前提で設計した」という。

 障害時の復旧は、AWSの管理ツール「マネジメントコンソール」で仮想マシンを再起動する。すると、異なるハードウエア上で仮想マシンが立ち上がる。「大半の障害は再起動で解決する。障害時に原因の切り分けが必要だったオンプレミス環境より運用は楽になった」(村島氏)。