今回は「みんなのラズパイコンテスト」の二つの受賞作品を紹介します。RS賞を受賞したウィン電子工業/産業技術総合研究所の作品と、3GPI賞を受賞した古寺 雅弘さんの作品です。

[RS賞]ウィン電子工業、産業技術総合研究所
多様なセンサーデータをHadoopで解析
「なんでもデータ採集システム」

 「なんでもデータ採集システム」は、センサーBOX、無線LANアクセスポイント、クラウドクラスターの三つの構成要素から成るシステムです。これらの構成要素を一つにまとめたことで、センサーデータをネットワーク経由で収集して分析する、多様な用途のシステムを構築できます。三つの構成要素はいずれもラズパイを使っているのでコンパクトで、持ち運びも容易です。

 センサーBOXは、ラズパイ、センサー搭載拡張基板、電流センサー用拡張基板、モバイルバッテリーで構成されます(図1)。拡張基板により、ラズパイに温度・湿度・気圧・加速度・ジャイロ・地磁気・GPS・電流の各センサーを、GPIOやI2Cなどを介して接続しています。センサーBOXで収集したセンサーデータはSDカード上に一時的に保存され、このデータを無線LANアクセスポイントを経由して、クラウドクラスターに送信します。センサーBOXは複数個を同時に運用することができます。

図1●多様なセンサーを搭載できるセンサーBOX
図1●多様なセンサーを搭載できるセンサーBOX
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図2●ラズパイを複数使ったクラスターシステム
図2●ラズパイを複数使ったクラスターシステム
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 クラウドクラスターは、複数のラズパイを使って、Hadoopで分散処理データベースを構成します(図2)。今回のコンテストの応募では4台のラズパイを使っていますが、台数を増やして並列度を高めることも可能です。 

 なんでもデータ採集システムの活用用途はさまざまです。

例えばGPSセンサーを利用したナビゲーションシステムや、室内にセンサーBOXを複数設置して家電の消費電力を計測できるスマートハウス用センサーネットワークなどが考えられます。今回の応募では実践例として、電動アシスト自転車の荷台にセンサーBOXを設置し、バッテリーの消費電力と温度・湿度・大気圧といったデータを自転車に乗りながら計測するシステムを構築しています(図3)。

図3●電動アシスト自転車の荷台にセンサーBOXを搭載
図3●電動アシスト自転車の荷台にセンサーBOXを搭載
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