今回は「みんなのラズパイコンテスト」の二つの受賞作品を紹介します。アイデア賞を受賞した北村 珠一さんの作品と、学生賞を受賞したshtsさん(高校生)の作品です。

[アイデア賞]北村 珠一さん
小さな子供でも親にメールできる
NFCカードをかざして意思を伝える

 共働きだと、どうしても子供だけが家にいる時間ができてしまいます。そんなときに、いつでも親にメッセージを送れるようにしたのが、北村 珠一さんのアイデア作品です。

 「早く帰ってきて」や「具合悪い(T_T)」といったメッセージを書いたNFC(Near Field Communication)カードを用意しておきます()。これをNFCリーダーにかざすと親にメールが飛ぶ仕組みです。カードの種類はNFCのIDで判別できます。

表●NFCでメールを飛ばすメッセージカードの種類
カードNo. メールのメッセージ 送信タイミング
1 おやつ食べてます 通信切断
2 早く帰ってきて 通信確立
3 お仕事がんばって 通信確立
4 具合悪い(T_T) 通信確立

 NFCは最近多くのAndroidスマートフォンなどにも採用されている近距離通信技術です。おサイフケータイに採用されているFeliCaもNFCの一種です。そのリーダーをラズパイにつなぎ、子供と手軽なコミュニケーションが取れるようにしました。

 メールを送るタイミングは、カードをリーダーにかざしたときと、カードを取り除いたときの2種類があります。「具合悪い(T_T)」といったメッセージのメールは、子供がカードをかざしたタイミングで送ります。「早く帰ってきて」というカードは、1日にたくさん出来事があって、両親に伝えたくて仕方ないときに使ってもらいます。これもカードをかざしたタイミングでメールを飛ばします。親から返信したとき、ラズパイに付けたLCDにメールを内容を表示するような拡張も可能でしょう。

 「おやつ食べてます」といったメッセージはカードが取り除かれたタイミングで送ります。カードはおやつの皿の下にセットし、それをNFCリーダーの上に載せておきます。子供が帰ってきて、おやつを食べるために皿を持ち上げると通信が切断し、そのときにメールが送信される仕組みです。子供が帰ってきたことが分かって親は一安心です。

 小学校の低学年以下だとPCやタブレットなどを使ってメール送信というのは少々難しいでしょうし、何より毎日きちんと送信してくれるとは限りません。ラズパイのような安価な機器を組み合わせて、親子で安心できるような、簡単に使えるシステムが構築できればと思ってアイデアを考えたそうです。