2015年2月25日、米IBMが開催する「IBM InterConnect 2015」の最終ゼネラルセッションに、資生堂が登場した。約1万人の「ビューティーコンサルタント」と呼ぶ美容部員が活用する「ビューティータブレット」のデモンストレーションを披露するためだ。

 ビューティータブレットは、資生堂が独自開発した接客用アプリと社内コミュニケーション用アプリを、複数搭載している。デモでは、ビューティーコンサルタントが接客用アプリの一つである「メイクアップシミュレータ」を使い、口紅の色選びに迷う来店客に応対するシーンを再現した(写真1)。

写真1●ビューティータブレットのデモを披露する資生堂のビューティーコンサルタント
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写真1●ビューティータブレットのデモを披露する資生堂のビューティーコンサルタント
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写真1●ビューティータブレットのデモを披露する資生堂のビューティーコンサルタント

 まずタブレットの搭載カメラで、来店客の顔写真を撮影する。取り込んだ顔写真を基に、様々な色の口紅を使った際のイメージを表示できる。来店客はそれを見て、気に入った色を探し出せるわけだ。「メイクを落とすことなく、自分にどの色が似合うかを見てもらえる」と、登壇した関根近子執行役員常務は語る(写真2)。

写真2●ゼネラルセッションに登壇した資生堂の関根近子執行役員常務(右)
写真2●ゼネラルセッションに登壇した資生堂の関根近子執行役員常務(右)
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 ユーザーの評判も上々だという。資生堂の亀山満情報企画部長によると、「5000人以上のビューティーコンサルタントからアンケートを取ったところ、『顧客とのコミュニケーションの質が高まった』との回答が76%に上った」と手応えを口にする。

 ビューティータブレットが威力を発揮するのは、接客シーンだけではない。社内業務向けに、「Bureau(ビューロ)」と呼ぶアプリも用意した。社内日報や勤怠管理、ビューティーコンサルタント向けのSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)機能を備える。以前は、ビューティーコンサルタントが接客現場で得た顧客の声が、製品担当者に届くまでに約1カ月のタイムラグがあったという。それが、今では「24時間以内で共有できるようになった」(亀山部長)という(写真3)。

写真3●資生堂の関根近子執行役員常務(左)と亀山満情報企画部長
写真3●資生堂の関根近子執行役員常務(左)と亀山満情報企画部長
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