2015年2月22日~26日に米国ラスベガスで開催された米IBM最大のイベント「IBM InterConnect2015」(写真1)。IBMはエンタープライズ領域でハイブリッドクラウドが主流になる、というメッセージを強く打ち出した。
1万人を収容できる巨大アリーナで、初日のゼネラルセッションに臨んだクラウド事業統括のシニア・バイス・プレジデントであるRobert LeBlanc氏は、「クラウドは新しいアプリケーションや新しいデータの源。ビジネス変革の柱たる存在だ」と力を込めた(写真2)。
そのLeBlanc氏がまず壇上に招いたのが、欧州エアバスのバイス・プレジデントであるPascal Eymery氏である。同社は飛行データなどを分析して整備保守の作業者にフィードバックする仕組みを作ろうとしている。ターンアラウンド時間の短縮が目的だ。
ターンアラウンド時間とは、空港に到着した飛行機が燃料や物資を搭載し、再び出発するまでに掛かる時間のこと。「業界平均は25分間だが、航空会社によっては45分間掛かるところもある。ターンアラウンド時間が長いと、利益の押し下げにつながる」と、Eymery氏は話す。整備保守作業をいかに効率化できるかが時間短縮、さらには航空会社での収益性向上のカギだという。
IBMが、エアバスを最初に紹介したのにはワケがある。
ビッグデータを分析してビジネスプロセスを改善する取り組みは今後、多くの企業に広がると見られる。エアバスはその先駆けだ。ただし、それを実行するためのIT環境が問題になる。
LeBlanc氏は、「企業のビジネスプロセスは、複数の環境にまたがるようになるだろう」と語り、「既に多くの企業がペタバイト級のデータを活用し始めているが、その全てを(パブリック)クラウドに移すのは不可能だ」と指摘する。
そこでIBMが見据える現実解が、物理サーバーやプライベートクラウドで構築したオンプレミス環境とパブリッククラウドとを組み合わせたハイブリッドクラウドというわけだ。