「早く行きたければ1人で行きなさい。でも遠くへ行きたければ誰かと一緒に行きなさい」――。2015年2月25日(米国時間)、約2万人が参加した米IBM最大のイベント「IBM InterConnect 2015」を締めくくる最後のゼネラルセッションに登壇したミドルウエア部門でゼネラルマネジャーを務めるMarie Wieck氏は、「The Good Lie」という映画の1シーンを引用した(写真1)。
「いかにイノベーションを加速させていくか。その答えはシンプルだ。協力と協業である」。Wieck氏はこう断言する。
InterConnect 2015は、昨年までIBMが開催してきた「Pulse」「Impact」「Innovate」の3イベントを統合したもの。テーマはクラウドとモバイルである。このイベントで、技術や開発者に関する自前主義を捨て去ることで、クラウドを始めとした新しいテクノロジー領域の覇者を目指そうとする同社の方針が改めて鮮明になった。
キーワードは、「オープンテクノロジー」である。
熾烈なクラウド競争を2段階で勝ち抜く
IBMが昨今、特に力を注ぐのが、クラウド分野でのオープンテクノロジーだ。IaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)構築ソフトの「OpenStack」、さらにPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)構築ソフトである「Cloud Foundry」といったオープンソースソフトウエア(OSS)開発に、積極的に参加している。
2015年2月23日(米国時間)、最初のゼネラルセッションにトップバッターとして登壇した米IBMでクラウド事業を統括するシニア・バイス・プレジデントのRobert LeBlanc氏はハイブリッドクラウドを実現する重要な条件の一つとして、「設計がオープンであり、ロックインを避けられること」を挙げ、「IaaSであってもPaaSであっても選択の自由があり、柔軟性に富んでいる必要がある。当社はそれに取り組んでいる。こうした条件を備えたものこそが、次世代のクラウドだ」(LeBlanc氏)と語った(写真2)。
同セッションの中では、現時点で詳細は不明であるものの「OpenStack as a Service」を提供する旨にも触れた。