第1回では、事業に関わる担当者が始められるデータ分析の方法として、「2次属性付け」と「クロス集計」が有用であると紹介した。2次属性とは、元のデータから傾向を見い出すための分類のこと。2次属性は、仮説に基づいて分析の担当者が自由に付けてよい。2次属性付けとクロス集計を繰り返して、自らの事業がどういった構造になっているのかを数字で明らかにする「事業構造分析」を進める。

 事業部の担当者が自らデータ分析を始めるとき、最初から高額なソフトウエアや大規模な投資が必要なシステムを用意するのは難しいだろう。データ分析の有用性、可能性を見いだすためにも、まずは「Excel」から始めるのが無難だ。ここでは詳細なデータ分析手法は解説しないが、データを読み込んで2次属性を別のセルに付けていき、クロス集計する。基本的にはこの繰り返しで分析を進める。

Excelの限界、「Power BI」で超える

 ところがExcelには「壁」がある。データ分析に使うには、扱えるデータ量が少ないのだ。現行のExcelで扱えるのは最大100万件。実際は、数十万件のデータを集計しようとすると、挙動がおかしくなったり、応答速度が遅くなったりする。数千件、数万件のデータであればExcelでも分析作業は進められるが、購買履歴やアクセスログでは数十万件、数百万件といったデータ量になることも珍しくない。

 Excelの使い勝手はそのままに、データ分析ツールとしての限界を引き上げたいときは、マイクロソフトが提供している「Power BI」に目を向けるとよいだろう(画面1)。

 Power BIはExcelをビッグデータの分析ツールにするソフトウエア/サービスで、「Power BI向けExcelアドイン機能」と「Power BI for Office 365」から成る。プログラミングは不要で、100万件制限はない。1000万件を超えるデータでも読み込んで処理できる。通常のExcelのように、手元のパソコンにデータを置いて分析するだけでなく、SQLサーバーと連携させて使うことも可能だ。

画面1●Power BIのWebサイト
画面1●Power BIのWebサイト
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