写真1●楽天でスマートペイ事業の事業長を務める小林重信氏
写真1●楽天でスマートペイ事業の事業長を務める小林重信氏
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写真2●小林氏が示した各国のクレジット・デビット決済比率の比較
写真2●小林氏が示した各国のクレジット・デビット決済比率の比較
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 楽天が2015年2月23日に開催した「楽天金融カンファレンス2015」では、「2025年、決済進化形」と題する対談が行われた。一般消費者の支払いで現金が好んで使われる傾向が強い日本や、新興市場などでキャッシュレス決済の拡大を目論む3社の幹部が、決済サービスについて語り合った。

 議論は、日本市場の特殊性を軸に展開された。楽天でスマートペイ事業の事業長を務める小林重信氏(写真1)は、「日本は諸外国に比べて現金決済の比率が極端に高い」と問題提起した。小林氏が引用したMM総研の資料によれば、米国・英国・韓国でクレジット・デビットカード等による決済比率が50%を超えているのに対し、日本では20%に満たないという(写真2)。

 「楽天スマートペイ」は、スマートフォンと小型クレジットカードリーダーでクレジットカード決済を利用できる中小小売・サービス業店舗向けのサービス。日本国内では競合他社に先駆けて2012年12月に提供開始し、同種のサービスで優位に立っている(関連記事:楽天がカード決済端末に参入、読み取り機を直販ICカード使えるEMV対応スマホ決済、楽天が国内で先陣切る)。

 小林氏は中小店舗が現金決済を好む理由として「端末価格の高さ」「手数料率の不透明さ」「現金化にかかる日数」の3点を挙げた。そして、「これらのボトルネックを解消することで、キャッシュレス決済を普及させつつ事業を成長させたい」と述べた。

日本の“独自規格”にはマイナス点も

写真3●米マスターカードでモバイル・ネット決済など新規事業を統括するシニア・バイス・プレジデントのジェームス・アンダーソン氏
写真3●米マスターカードでモバイル・ネット決済など新規事業を統括するシニア・バイス・プレジデントのジェームス・アンダーソン氏
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 米マスターカード(MasterCard)でモバイル・ネット決済など新規事業を統括するシニア・バイス・プレジデントのジェームス・アンダーソン(James Anderson)氏は、Suica(スイカ)などの非接触ICカードによる電子マネーが普及している日本の状況に言及(写真3)。「日本は非接触決済の先進国で、我々も多くのことを学んだ」と述べた。