楽天が2015年2月23日に開催した「楽天金融カンファレンス」で、「ビットコインの台頭」と題するパネルディスカッションが行われた。
「日本ではMt.Goxの破綻で、ビットコイン自体が破綻したかのような誤解が広がってしまった。誤解も甚だしい」――ディスカッションの冒頭、経済学者の野口悠紀雄氏は強い調子で主張した(写真1)。実際には、世界でビットコインは順調に成長しているとして「ビットコインという新技術を使いこなせるかは、日本経済にとって大きな意味がある」と訴えた。
このディスカッションでパネリストとして登壇したのは、野口氏に加え、米ビットネット・テクノロジーズのジョン・マクドネル共同創業者兼CEO、弁護士で日本価値記録事業者協会(JADA)顧問の斎藤創氏である。モデレーターは日本経済新聞社の関口和一論説委員兼編集委員が務めた(写真2)。
野口氏はビットコインの際だった特徴として「他の通貨や電子マネーと異なり、管理主体が存在しない」点と、「取引の手数料が原則ゼロである」点を挙げた。管理主体がないため、Mt.Goxのような取引所が破綻しても、P2Pネットワークを通じてビットコイン利用者は取引を継続できたという。「デジキャッシュなどの過去の電子マネーは、管理主体である企業の経営が傾けば、使えなくなる欠点があった」(野口氏)。また手数料無料という特徴によって「Webサイトの決済、少額決済や国際間送金で力を発揮する。銀行の送金業務を代替できれば、インパクトは大きい」(野口氏)とした。