次世代のデバイスとしてウエアラブルコンピュータ(身に付けて利用するコンピュータ)が注目を浴びている。その中でも「スマートグラス(メガネ型コンピュータ)」は、作業現場の業務と相性が良いため、多くの企業が実証実験をしたり、実運用の検討をしたりしている。

 しかし、スマートグラスを使用した経験のある人はまだ少ないだろう。スマートグラスの使い勝手は、スマートフォンやタブレット、腕時計型デバイスとは全く異なるため、使って初めて発見することがたくさんある。一度も触れたことのない人が「作業現場での業務と相性が良い」と聞かされても、ピンとこないかもしれない。スマートグラスの情報をインターネットで検索しても、個人の体験談は数多く見つかるが、企業での利用を想定した情報は少ない。

 筆者の所属するスタッフネットでは、スマートグラスの技術とビジネスの両面から調査を進めてきた。ビジネス面では様々な業種の人にスマートグラスの着用ならびにプロトタイプによる評価を行ってもらい、企業ニーズについて独自の情報収集を行った。

 今回の記事は、スマートグラスの業務活用を検討するプロジェクトリーダーやシステム企画担当者が、知っておくべき前提知識について解説する。スマートグラスの動向や優位点、制限事項、利用シーン、将来性などである。記事は、スタッフネットが開催するスマートグラス向けセミナーから抜粋し、加筆して作成している。

2015年にも新製品が続々登場する

 米グーグル(Google)は、自社のスマートグラス製品である「Google Glass」の一般消費者向けベータテスト(Explorerプログラム)を2015年1月で終了した(関連記事:Google GlassプロジェクトがGoogle Xから卒業、独立した部門に)。しかし、企業向けの実証実験(at Workプログラム)は継続しており、at Work認定パートナー企業から様々な業務向けソリューションが提供されている。