LinkData.orgは、理化学研究所の生命情報基盤研究部門長で一般社団法人リンクデータの代表理事も務める豊田哲郎氏(写真1)らの研究グループが開発した。学術分野で大規模なデータを扱う仕組みを商用向けにシンプルにし、ビジネスパートナーとなる企業を探している。
豊田代表理事は「科学分野ではデータを共有する目的でアプリが連携するのが普通」と話す。例えば、海外の研究拠点のデータベースにある遺伝子のデータについて研究成果が出れば、日本のデータベースでも同じ遺伝子のデータへのリンクを通じて照合する。こうしてデータを統合処理できれば、互いのデータベースの価値が高まる。
遺伝子は一次元に並ぶ地図で、ゲノムの位置が一つでもずれていれば研究はすべて無駄になる。こうした仕組みがなければ、それぞれで研究している遺伝子が同じものなのか分からない。そのため、一つひとつのデータにIDを割り当てる必要がある。
IDを振るのに使うのが、RDF(Resource Desription Framework)という形式だ。RDFではWebサイトを表すURLの仕組みを拡張して、WebサイトのURLと同じように、httpなどの文字列で始まるURI (Uniform Resource Identifer)をIDとして使う。URIなどでデータを連携させる仕組みはLinked Dataと呼ばれる。
ゲノム解析によって同じ基準でデータが統合されたことによって、さまざまな分析ができるようになった。学術分野でのデータ連携の方法は一般にも広がった。緯度や経度が分かれば、Googleマップで場所を特定してデータ処理ができるようになった。
「もともとオープンデータはアプリを連携させるのが狙い」(豊田代表理事)と言う。つまりLinkData.orgは、学術分野での成功パターンを一般に持ち込んで、アプリだけなくロボットなどIoT(Internet of Things)分野でもデータを処理できるように応用範囲を広げるものだ。