社内外で積極的にハッカソンを開催している富士通は、その運営ノウハウをまとめている。2014年に約10回のハッカソンを運営した同社の事務局が、独自にまとめた運営術を解説する。最後のSTEP4は「事後フォロー」だ。同社は事務局と参加者、参加者同士の関係を持続させ、1度きりのイベントに終わらせないように工夫する。また、ノウハウを整理・公開し、新たな展開が起こることを狙っている。(本誌)

 私たちにとってハッカソンは、新たなアイデアを考え出し、サービスのプロトタイプを短期間で作り、「共創」と「競争」を通して参加者のモチベーションを高め、イノベーションを生み出していく重要な手段です。そして、企業の中でハッカソンを実践してみて、イノベーションを生み出すためには事後フォローが重要だと感じています。

 今回は、私たちがこれまでに行ったハッカソンにおける事後フォローの内容をベースに、ハッカソン後の事務局と参加者との関係作りや当日の様子の伝え方、ビジネス化や知財面のフォロー方法についてお伝えします。

お礼から始まる関係作り

 ハッカソンが終わったら、参加者にお礼の連絡を入れるのはとても重要です。私たちが実施したハッカソンの場合、ハッカソン終了時に回収したアンケートをもとに、他の参加者の声などを添え、当日、もしくは翌日にはお礼と簡単な報告をメールで行うようにしています。このようなメールが、継続した関係作りの第一歩になります。

 お礼をする際は、ハッカソン当日の予熱が冷めぬよう意識しています。ハッカソンの最中は、自分も何か新しいことにチャレンジしようと意気込む参加者がほとんどですが、翌日、出社したらそこで始まるのはいつも通りの日常です。その結果、一気に気分が冷めてしまうことがよくあります。そこでメールの文面は、ハッカソン当日の熱気を喚起させるものにします。

 また、参加者へのお礼と併せて、参加者を送り出してくれた上司、テーマオーナーの所属する部門(オーナー部門)など、関係者への報告も忘れてはいけません。