社内外で積極的にハッカソンを開催している富士通は、その運営ノウハウをまとめている。2014年に約10回のハッカソンを運営した同社の事務局が、独自にまとめた運営術を解説する。STEP2は「事前準備」である。参加者の集め方から会場の選び方、成果物の取り扱いを明記した参加規約の作り方まで気を配る(本誌)。

 ハッカソンは始まってしまうと運営側でコントロールできることが少なくなってしまいます。事前段階でどれだけ準備できるかで、ハッカソンの質が決まると言っても過言ではありません。

 今回は、参加者・ゲストなどの人の面、ハッカソン当日の実施内容の面、会場や提供技術などの環境面、そしてハッカソン実施後を見据えた知財や出口戦略面といった観点から、事前準備に欠かせないポイントをご紹介します。

イノベーションを生み出す、多様な参加者を集める

 新しいアイデアを生み、それを広げていくためには、異なる視点で議論を重ねることができる多様性のあるメンバーを集めることが重要です。目的やテーマに合わせて、組織(自部門、他部門、社外)、職種や専門(エンジニア、デザイナー、プランナーなど)、世代などが異なる人たちを何人くらい募るかを決めます。

 富士通社内で実施した新事業・サービス創出を目指した社内ハッカソン「FUJI HACK」では、事業部門を中心としながらも、グループ会社を含めた他部門(製品、デザイン、研究開発組織など)にも声を掛けました。声を掛けた人がまた他部門の参加を呼びかける、といったように協力の輪が広がっていきました。

 さらにグループ会社以外にも、広告代理店のTBWA\HAKUHODO\QUANTUM、博報堂アイ・スタジオなどにも参加していただきました。大企業になるほど、他部門に協力を仰ぐことが難しいものですが、いつもは関係の薄い部門を巻き込むことが良い結果を生むのです(写真1)。

写真1●多様な参加者を集めたハッカソンの様子(撮影:川本聖哉、出所:あしたのコミュニティーラボ)
写真1●多様な参加者を集めたハッカソンの様子(撮影:川本聖哉、出所:あしたのコミュニティーラボ)
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