写真1●IIJの田口景介氏
写真1●IIJの田口景介氏

 「かつて、開発チームと運用チームの関係はよくなかった」。インターネットイニシアティブ(IIJ)の田口景介氏(プロダクト本部 プロダクト開発部 アプリケーションサービス課長)はこう打ち明ける(写真1)。

 田口氏が所属する開発チームは、IaaS(Infrastructure as a Service)、DNSサービス、Webホスティングサービスなどを担当している。従来はアプリケーションの開発・保守に特化した組織だった。

 インフラの運用チームは別組織で、障害監視、ネットワーク設定、ハードウエアの調達・設定、OSの導入や設定、ミドルウエアの導入や保守などを担当していた。

 以前は、開発と運用の間で意識のずれがあった。開発チームが新たにサービスを企画したり、既存サービスを改修したりする際、運用側の制約で使用できる技術が限られ、それを開発側が不満に感じることが多かったのだ。サービスに使用する技術のノウハウが運用チームにないと、本番環境への実装を認めてもらえなかった。

 例えば、商用のDBMSを使ったサービスを開発しようとしても、運用チームは「ソースコードが開示されていなければ安心して運用できない。オープンソースのDBMSに変えてほしい」と断っていた。これまでとは異なる仮想化ソフトを使いたいと開発チームが申請したときも、採用されなかった。

 運用チームはシステムの安定運用がミッションであるため、自社で実績のない技術を採用するのはリスクが高いと判断せざるを得なかったのだ。