携帯電話の「2年縛り契約」に代表される期間拘束付きの通信料金プランについて、総務省の有識者会合が通信事業者に改善を求める報告書を公表した。特に携帯電話で9割の利用者が2年拘束の割引メニューを結んでいるなど、「2年縛り・自動更新」以外の料金プランが選択肢として機能していない点を問題視。他の選択肢が用意されるよう改善を求めている。

 報告書は2015年7月16日に開催された「ICTサービス安心・安全研究会、消費者保護ルールの見直し・充実に関するワーキンググループの合同会合」で公表された。5月に消費者問題の専門家からなる特別部会(タスクフォース)を組織し、光通信なども含めて増えている期間拘束付きの割引メニューについて、現状と問題点を議論してきた。

 具体的には9つの論点で問題を分析している。「拘束のない料金プランがあることを消費者に十分に説明していないのではないか?」「拘束のないプランの料金水準が禁止的(意図的に料金を高くして選びにくいプランにしている)ではないか?」「利用者のプラン選択は機能しているか?」「(一部にある3年縛りや5年縛りなど)2年を超える期間拘束は問題ではないか?」などだ。

 途中解約に課せられる違約金(携帯電話大手3社の場合は税抜き9500円)については、「算定が合理的でないのではないか?」という論点を挙げた。一律料金を止めて解約時に残した契約期間が短いほど値下がりする階段型にしたり、料金水準自体を引き下げたりするなど、利用者が都合の良い時期にサービスを乗り換えやすくすることを求める内容だ。

 利用者が契約更新月に解約手続きを取らないと期間拘束をさらに2年延伸する「自動更新」についても「問題ではないか?」と指摘している。総務省の調査では、販売店などでこの仕組みを説明している店舗は55%にとどまる。また自動更新によって「拘束期間を4年、6年とするのに近い効果を持ち、利用者のサービス選択の自由を実質的に奪っている」面があると強調した。

 今後は、通信事業者各社が期間拘束や自動更新がない、あるいはその条件を緩和した「本当に選択肢になり得る料金プラン」を出すかどうかが焦点となる。特に「料金の選択肢が機能していない」とされた携帯電話大手の動向がポイントだ。

 タスクフォースで参考人として意見を述べた携帯電話大手などは「期間拘束は割引プランの一つであり、違約金の水準も妥当」という主張を貫いてきた。今後も「2年縛り・自動更新」で基本料金を半額にするという現行の料金プランは存続させる公算が高い。一方で、NTTドコモは「2年縛り」の料金プランを残しながら、契約期間を短くした新料金プランを検討するなどの動きも出始めている。