Windows Server 2003のサポート終了が目前に迫っています。移行先の選択肢となる最新のサーバーOS、Windows Server 2012 R2について、これまでのバージョンと何が変わったのかを中心に解説します。今回は、前回に引き続いてWindows Server 2012で刷新されたVDI機能と2012 R2における変更点についてです。


Webポータルの強化

 リモートデスクトップサービスのWebポータルであるRD Webアクセスは、Internet Explorer(IE)だけでなく、Google Chrome、Mozilla Firefox、Apple Safariを正式にサポートします。また、ポータルのカスタマイズやシングルサインオン(SSO)の構成が簡素化されました。

Webフィードの自動構成

 RD Webアクセスのポータルは、Webフィードを使用して、Windows 7以降に接続情報(RDPファイル)を配布できます。Windows 7以降のコントロールパネルには、そのための[RemoteAppとデスクトップ接続]が用意されています。Windows 7では、Webフィードを手動設定する必要がありましたが、Windows 8からは、グループポリシーによるWebフィードURLの配布や、電子メールアドレスの入力によるWebフィードURLの自動検索が可能になりました。

RDP 8.0(RemoteFX)のエクスペリエンス

 Windows Server 2008 R2で初めて提供されたRemoteFXは、主にRemoteFX仮想GPU(RemoteFX 3Dビデオアダプター)の機能を指していましたが、RDP 8.0からはRDP 8.0が提供するエクスペリエンス機能全般を指すようになりました。RDP 8.0の主なRemoteFXエクスペリエンス機能を次に示します。

●接続品質の自動検出 ―― RDP 8.0対応のリモートデスクトップ接続クライアントは、接続先との間のエンドツーエンドのネットワーク品質を自動検出し、品質に応じてパフォーマンスとエクスペリエンス機能を最適化します。

●RemoteFX for WAN ―― RDP 8.0は、トランスポートプロトコルとして従来のTCP(3389/TCP)に加えて、UDP(3389/UDP)をサポートします。既定では、TCPとUDPの両方が有効になっており、接続品質やコンテンツの種類に応じて最適なトランスポートが自動選択されます。UDPは、パケットロスや遅延の多いWANリンクに適しています。UDPの中継に対応するため、リモートデスクトップ(RD)ゲートウェイでは、従来のRDP over HTTPS(443/TCP)に加えて、RDP over DTLS(3391/UDP)に対応しました。

●RemoteFXメディアリモーティング(メディアストリーミング) ―― WANリンクを介した接続において、少ない帯域幅でマルチメディアコンテンツのスムーズな再生を実現します。

●RemoteFXアダプティブグラフィックス ―― サーバーの負荷、クライアントの負荷、ネットワーク品質に動的に対応し、コンテンツの種類に応じて最適なエンコード方式を自動選択します。例えば、帯域幅が制限されるWANリンクの場合、テキストコンテンツを先に表示し、イメージやビデオ、アニメーションについては徐々に表示を鮮明化します。

●RemoteFXマルチタッチ ―― タッチ対応デバイスからのリモートデスクトップ接続において、セッション内でのタッチデバイスの認識と使用をサポートします。

●RemoteFX USBデバイスリダイレクト ―― ローカルに接続されたUSBデバイスを、Windows 8 Enterprise以降の仮想デスクトップ、Windows Server 2012以降のリモートデスクトップセッションホスト、RDP 8.0が有効なWindows 7 Enterprise SP1の仮想デスクトップのセッションにリダイレクトして利用できます。RDP 7.1ではこの機能はRemoteFX仮想GPUに依存する機能でしたが、RDP 8.0以降ではRemoteFX仮想GPUとは関係なく利用できます。また新たに、セッション中からのUSBデバイスの接続や切断が可能になりました。

●RemoteFX仮想GPU(vGPU) ―― リモートデスクトップ(RD)仮想ホストにインストールされたグラフィックスカードのGPU(Graphics Processing Unit)を仮想化し、RemoteFX 3Dビデオアダプターとして仮想デスクトップに割り当てることができます。RemoteFX 3Dビデオアダプターが割り当てられた仮想デスクトップに対するリモートデスクトップ接続では、DirectX 11対応のグラフィックス機能を利用できます。

●RemoteFX Media Redirection API ―― Lync 2013などのVoIPアプリケーションに対して、ローカルと変わらないオーディオ/ビデオ会議機能を提供します。Lync 2013でこの機能を利用するには、Microsoft Lync VDI 2013 Plug-Inが必要です。

 Microsoft Lync VDI 2013 Plug-In(32ビット)
 http://www.microsoft.com/ja-jp/download/details.aspx?id=35457

●RDPセッションのネスト表示 ―― RDP 8.0のリモートデスクトップ接続では、リモートデスクトップ接続のセッションから別のリモートデスクトップ接続のセッションに接続する、ネスト表示がサポートされます。

●RemoteFXのパフォーマンスカウンター ―― RemoteFXのエクスペリエンス機能のパフォーマンスの計測に利用できる、RemoteFX Graphics、RemoteFX Network、RemoteFX VM vGPU Performanceカウンターが提供されます。

Modern UI版リモートデスクトップアプリ

 Windows 8向けにWindowsストアを通じてModern UIスタイルの[リモートデスクトップ]アプリが無償提供されました。