「受験サプリ」は、リクルートマーケティングパートナーズが2011年に開始した大学受験生向けサービス。過去の入試問題が無料で見られるほか、月額980円で授業動画も見放題となる。有料会員数が13万人と、受験生から支持されている。2015年には、小中学生向けの「勉強サプリ」も開始した。両サービスを立ち上げ、現在もプロデューサーとして運営に携わる松尾慎治氏と中野慧氏に聞いた。
(記事構成:八木 玲子=日経コンピュータ)

山内:「受験サプリ」「勉強サプリ」は、リクルートグループとしては初の教育事業だと思います。まず、第一弾となった受験サプリをなぜ始めようと思ったのかというところから教えていただけますか。

松尾:確かに教育事業はこれらが初めてだったのですが、元々、「リクナビ進学」というサービスを展開していました。高校生向けに、大学や専門学校などの情報を提供するものです。当社社長の山口や私は、元々リクナビ進学のサービス企画を担当していました。

 この事業は、「少子化」「大学全入時代」といった流れを受けて傾きつつありました。何か新しい中長期の戦略を描けないか、というところから、教育事業の検討がスタートしました。それが、2010年の夏ごろです。

「受験サプリ」の立ち上げに携わった松尾慎治氏。現在もプロデューサーを務める
「受験サプリ」の立ち上げに携わった松尾慎治氏。現在もプロデューサーを務める
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松尾:その際、高校生が何に困っているのか、そこにリクルートグループとして提供できる価値は何かということをイチから考えようということになりました。私も高校生とは一回りほど年齢が離れてしまっているので、改めて今の高校生が何を考えていてどんなことに興味があるのかを確認しようと、全国を回って数百人にインタビューしました。都市部の子にも、地方の子にも会いました。

 「進路選択に当たって困っていることはあるか」という質問に対して、ちらほら返ってきたのが「受験勉強に困っている」という答えでした。そのときの私は、「大学受験を目指す子なら、予備校に通っているだろう」という思い込みがあったんですね。それで「確かに受験勉強は大変だろうけど、最後は自分の努力次第だから、予備校で頑張ってね」というアドバイスをしたんです。

 そうしたら、ある子に「いや、そういう問題じゃないんです」と言われたんです。それで、予備校に行きたくても行けない子がいることに気づきました。家庭の経済的に余裕がない子もいれば、地方に住んでいて予備校まで往復で何時間もかかるという子もいました。