「MetaMoJi ClassRoom」は、タブレットを使った授業の支援アプリ。特徴の一つが手書き機能で、クラス全員で一つのワークシートに同時に書き込むといったことも可能。茨城県古河市の小中学校をはじめ、各地の学校で活用されている。MetaMoJiの浮川和宣代表取締役社長と、同社文教開発部の福原秀伯氏に聞いた。
(記事構成:八木 玲子=コンピュータ・ネットワーク局教育事業部)
山内:教育分野でタブレットの活用が進んでいますが、特に小学校のような初等教育の場合、「手書きができる」ことに価値を置いている人が多くいます。「MetaMoJi ClassRoom」は、まさにその点を特徴としていますよね。
浮川:はい。MetaMoJi ClassRoomは、元をたどれば、手書き入力ソフトの「mazec(マゼック)」から生まれた製品です。手書きした文字を、テキストに変換するソフトです。
山内:実は私もmazecのユーザーで、日々利用しています。
浮川:そうでしたか。ありがとうございます。
山内:浮川社長は以前から日本語入力を手掛けてこられましたが、なぜ、ここへきて手書きをやろうと思われたのですか。
浮川:きっかけは、iPadの登場です。発表されたiPadを見て、「これはすごいデバイスが出た」と思いました。それまでもペン入力できるWindowsなどが提案されてきましたが、ここまで割り切った、薄くて軽くてバッテリーが持つものはなかったと思います。
既にMetaMoJiは創業していて、Windowsベースでいろいろ開発したりしていたんですけど、全部ストップしました。そしてiPadでやりたいことを皆で議論しました。出てきたのが「手書きの文字入力」です。
私は前職のジャストシステム時代から、長年日本語に携わってきました。あるべき日本語入力の姿を追求してきましたが、パソコンではどうしても越えられない壁がありました。キーボードをつないだり、テーブルに置いたりする必要があるからです。また日本語の場合、ローマ字入力なら日本語を一度英字に置き換えなくてはいけません。
iPadなら追加の入力機器は不要だし、使う場所を選びません。さらに手書きで、日本語をそのまま入力できます。「理想のデバイスだ」と思いました。今さら手書きか、とも言われましたが(笑)。
当初はiOSの仕様で、一つの日本語入力ソフトを全てのアプリで使うということができませんでした。そこで「7notes」というワープロとmazecを合わせて、一つのアプリとして開発しました。