山内:リリース後、どんなふうにサービスを改良されてきましたか。

浅谷:細かな改良を続けていたのですが、ある時点で課題に直面しました。基本機能がひと通りそろって、その後どんな方向に進むべきかを考えたときに行き詰まりを迎えたんです。「どの方向に行けば先生のためになるのか」と、正解探しが始まりました。サービスをこまめに改良してもその効果が思ったように出ない状態になっていて、模索をしました。

 そこで改めて、基本に立ち返りました。自分たちはどういう世界を作りたいのか、なぜ教育が大事なのかという上位概念を、徹底的に考えました。

LOUPEの浅谷氏
LOUPEの浅谷氏
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 私たちは、「教育は大事だ」と考えて教育向けサービスを開発しています。でも、なぜ大事なのか。そこがはっきりしていないために、答え探しになってしまうんですね。またそこがあいまいだと、教育の重要性を認識していない人には響かないサービスになってしまいます。

 そこで、細かな改善よりも大枠から見直そうということになり、サービス設計やユーザーインタフェースなどをリニューアルしました。

山内:元々のビジョンに立ち返ったわけですね。具体的に、どんな部分に重きを置くようになったのでしょうか。

浅谷:以前は、「今後はこんな人材が社会に求められるから、こういう子を育ててください」といった、均質な子どもたちを育成するための教育がなされていました。高度経済成長社会ならよいのですが、今の日本のように成熟した社会には適していないと考えました。

 これからは、まだ誰も見たこともない課題に立ち向かっていかなくてはならない。そのためには、いろんな価値観を持った子どもたちがいないと前に進めないのではないでしょうか。そして多様な価値観を持った子どもを育てるには、先生の側にも多様性が重要になります。ですから、先生の多様性を高めよう、ということになりました。