[連載 第6回(最終回)] 気づきを実践しても、思い通りの成果を得られるとは限らない。ただ、そこで諦めてはいけない。実践を成功させるには、失敗を恐れずに繰り返すことが何よりも重要だ。そのためには周囲の支援が欠かせない。共感を伴う温かいアドバイスが新たな挑戦を促し、実践を成功へと導く。

 これまで本連載では、気づきを得ること、その気づきを実践することを解説してきた(図1)。最終回となる今回は、実践を成功させる秘訣について考えてみよう。

図1●「内省術」六つのステップ
図1●「内省術」六つのステップ
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 秘訣の一つは、繰り返し実践することだ。なぜ、繰り返し実践する必要があるのか。それは、1回の実践では、良い結果が出ないことが多いからだ。内省のワークショップで気づきを得て、「よし!これはよい方法だ。職場でやってみよう」と意気込んで実践しても、必ずしもうまくいくとは限らない。意気込みが強ければ強いほど、落胆も大きいだろう。

 だが、失敗することは当たり前だと考えた方がよい。ワークショップは気づきを得る場であるとともに、失敗談を披露する場と割り切るべきだ。ワークショップの一番最初に、「ここは失敗から学ぶ場」だということを、参加者全員の共通認識にしておこう。

失敗を受け入れて何度も挑戦する

 ある企業において、内省のためのワークショップを毎週1回実施した際、あるチームリーダーが、4週続けて、一人のメンバーに関する話をした。マネジメントに熱心なチームリーダーで、そのメンバーに対する指導をいろいろと工夫していた。毎週のワークショップでは、その工夫を語ってくれた。