[連載 第2回] 関係者それぞれの思惑の違いが、システム現場でのトラブルに発展することは少なくない。ものの見方や考え方といった、言葉にすることが難しい「暗黙知」を、他人と共有可能な「形式知」に変換するには、「書く」ことが有効だ。今回は、内省に欠かせない「書く」ことについて解説する。

 この連載では、気づきの重要性と内省について紹介している。気づきの対局にあるのは、「思い込み」だ。読者の皆さんは、自分が持っている思い込みを意識したことがあるだろうか。

 例えば、「これだけのアクセスが一時期に集中するとは思わなかった」「このようなリスクは容易に想定できるので、対応策もすでに準備できていると思っていた」「チームのメンバーが交代することは知っていたが、こんなスキルレベルの低い人が来るとは思わなかった」「システム変更に関する費用は、要望を出した先方が、当然負担するつもりがあるのだと思っていた」といった思い込みだ。

トラブルを招く「思い込み」

 システム現場でのトラブルは、こういった思い込みが原因で発生することが多い。自分の立場でしか物事をとらえていないと、大きなトラブルを引き起こす恐れがある。しかも、何度も再発することになる。