「Raspberry Piは、チケット管理や灌漑(かんがい)管理など、どんどん新しい用途が広がっています」。英RSコンポーネンツでグローバルセールスディレクターを務めるクラウス・ゴールデンボット氏に、最近こう聞きました。RSコンポーネンツは、Raspberry Pi Foundationのライセンスを受けてラズパイ(Raspberry Pi)を製造し、世界に供給する2社のうちの1社です。

用途が広がるRaspberry Pi
用途が広がるRaspberry Pi
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 チケット管理にラズパイを採用するのは、英国の大手チケット販売会社です。ラズパイに小さなバーコードスキャナーを付けて、イベント会場やコンサート会場で使います。チケットの暗号化されたバーコードデータを読み取ってセンターに送信し、チケットがコピーされたり偽造されたりしたものではないかをチェックします。

 最近は、ネットで購入し、家庭のプリンターなどで印刷するチケットが一般的になっていて、偽造されるケースが少なくないとのこと。バーコードのチェックは、通常のパソコンとスキャナーでも実現できますがコストがかさみます。ラズパイなら安価なので、まず50台で試験導入しました。うまくいったので数千台規模で欧州全体に拡大するそうです。

 灌漑管理では、温湿度センサーを付けたラズパイをケースに入れて、土に埋めます。ワイヤレスでデータを集約し、用水施設のバルブを制御して、いつ水を供給するかを制御するそうです。

 同様の事例は日本でも出てきています。RSコンポーネンツ日本法人 代表取締役の横田親弘氏によれば、ビニールハウスの温度管理や水田の水位管理にラズパイを活用する事例が出てきていると言います。カメラを取り付け、銀行のATM向けに顔認識機能を提供するシステムを開発するベンダーもあります。業務用のアーケードゲームに適用する取り組みもあり、SDカードを入れ替えるだけで、すぐにバージョンアップできるのが魅力とのことでした。

「みんなのラズパイコンテスト」を開催

 ラズパイの使い道はもちろん、こうした業務用途に限りません。個人が自由にいじって楽めます。「そのためのアイデアは、みんなで考えて共有したい」。そんな思いから、日経Linuxと日経ソフトウエアは共同で「みんなのラズパイコンテスト」を開催することにしました。