Googleが未来都市開発に乗り出した。独立会社「Sidewalk Labs」を設立し、住民が生活しやすい都市を開発する。これは、IBMやCiscoが手掛けているスマートシティーとは大きく異なる。都市開発ではInternet of Things(IoT)を中心とするITを総動員するだけでなく、建造物の素材やアーキテクチャーも研究対象となる。Googleが開発している自動運転車や再生可能エネルギー発電も視野に入る。このプロジェクトは、Google Xに続く高度研究所「Google Y」と呼ばれ、噂されていた。限られた情報から、Googleの壮大な構想を読み解く。

Sidewalk Labsとは

出典: United Nations
出典: United Nations
[画像のクリックで拡大表示]

 Googleは2015年6月、革新的な街づくりを目指すSidewalk Labsを発表した。CEOのLarry Pageはブログの中で、設立経緯や目的を明らかにした。地球規模で都市化が進み(上の写真、国連調査レポート)、人口集中が顕著になっている。Sidewalkは都市部で生活する人々の暮らしを改善するための技術を開発する。これは「Urban Technologies」と呼ばれ、住宅、交通、エネルギーの三分野を対象とする。具体的には、住宅コストを低減し、交通渋滞や電車混雑の少ない効率的な交通網を作り、エネルギー消費量を低減する。

 Sidewalkの事業は、Googleのコアビジネスとは異なるため別会社となっている。Sidewalkは長期レンジのプロジェクトで、今より10倍住みやすい都市を作ることを目指す。CEOには、Bloombergの元CEOであるDan Doctoroffが就任する。