Google研究機関「Google X」は概要が明らかにされることはなく、謎に包まれた組織である。サンフランシスコで開催された開発者会議Google I/Oで、GoogleはGoogle Xの狙いやイノベーションを生み出す仕組みを解説した。なぜ自動運転技術が生まれ、ハンドルのない自動車を作るのか、開発思想を明らかにした。IT企業が新技術を開発する時に、個人が難問に挑戦する際に、参考となる情報が含まれている。

Moonshot Factoryとは

出典: Google
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 Google Xの責任者Astro Tellerが、組織概要や開発中のプロジェクトを明らかにした(上の写真)。一連の講演は、YouTubeで公開されている。Google Xは5年前に誕生した。研究所と解釈されるが、実態は違うようだ。新技術を生み出すインキュベーターでもないし、Google製品を開発するビジネスユニットでもない。Google Xは「Moonshot Factory」として誕生した。

 Moonshotとは月着陸ロケット打ち上げという意味で、Kennedy大統領の演説で使われた。今では、壮大なチャレンジを表す時に使われる。Googleは壮大なチャレンジを、性能や機能が10倍良くなることと定義する。これを達成するためには、既存の土台からスタートするのではなく、根本的に異なるアプローチが必要となる。次に、Factoryとは目に見える形で製品を開発することを意味する。机上の理論ではなく、プロトタイプまで仕上げることを意味する。両者を繋ぎ合わせると、Moonshot Factoryは「革新的プロトタイプ製造工場」となる。