小型無人航空機ドローンで中国DJI社が独走している。主力製品「Phantom」は“空のiPhone”と言われ、シンプルで洗練されたデザインが消費者の心を掴んでいる(下の写真)。ドローンはマニア向けの製品だったが、Phantomの登場で市場が一気に広がり、ドローンブームを引き起こした。DJIの勝ちパターンは何か。今後も一強時代は続くのか、急成長しているドローン市場を分析する。

DJIとはどんな会社

出典: DJI
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 米国で、制御不能となったドローンがホワイトハウスに墜落した。日本では、ドローンが首相官邸に落下した。どちらの機種もPhantomで、DJIは不名誉な形で有名になった。米国では、DJIは米国企業と思っている人が少なくないが、Shenzhen(中国・シンセン) に拠点を置くドローンメーカーである。創設者はFrank Wangで、大学時代に香港で創業した。学生寮でドローンコントローラーを開発し、メールで注文を受け販売していたというエピソードがある。

 DJIが大きな転機を迎えたのは2011年。Wangは、米国でColin Guinnという人物に出会った。Guinnは、上空からの映画撮影を専門とするプロダクションを経営していた。ハリウッドの映画撮影などを手掛けた。GuinnはWangに見込まれ、北米の事業拠点DJI North Americaの責任者に就任した。

ドローンブームのきっかけを作る

 Guinnは、北米のドローン事業推進に関して多くの提言をしている。その一つがパッケージングで、マニアでなくても使えるように、完成形で出荷することを提案した。箱からドローンを取り出すと、そのまま飛ばせる製品デザインとした。これまでの製品のように組み立てる必要はなく、一般消費者もフライトを楽しめた。