KDDIがついにFirefox OS端末を発売した(関連記事:ニュース - KDDIが初のFirefox OSスマホ「Fx0」を発売、「模型を作るように楽しんで」)。発売に至るまでの動向をITproの記事で追ってみよう。

 Firefox OSの商用ビルド版が姿を現したのは2013年2月にスペインで開催された「Mobile World Congress(MWC) 2013」(関連記事:世界の大手キャリアがサポート表明、Firefox OSがスマホ第3勢力形成へ)。開発を手掛ける米モジラは「他のスマートフォン向けOSとは異なり、完全にオープンで誰もが自由に参加できるプラットフォーム」を売りにしており、2013年半ばには世界各地での販売が見込まれていた。

 世界の通信キャリアは、新興国市場向けの低価格な端末用としてFirefox OSをとらえていたようだが、KDDIはこの時点で「必ずしもローエンドの層だけにフォーカスしているわけではない」(石川雄三取締役執行役員専務)とのスタンスを示していた。

 1年後の2014年2月に開催されたMWC 2014では、米モジラがFirefox OS搭載の「25ドルスマホ」投入を表明して注目を浴びた(関連記事:Firefox OS搭載25米ドルスマホ新興国はPCを“スキップ”してスマホに、一気に先に進める)。

 性能は低くても安さのインパクトは大きい。この25ドルスマホのプロトタイプ版は6月に上海で開催された「Mobile Asia Expo 2014」で公開された(関連記事:Firefox OS搭載「25ドルスマホ」のプロトタイプをMozillaが展示)。実際にインドのインテックス・モバイルが発売したFirefox OS搭載の低価格スマホは33米ドル。その分解記事は、ITproにも掲載した(関連記事:分解スペシャリストが見た!スゴイ製品その中身 - 30米ドル台では抜群の完成度、Firefox OS搭載のインド発スマートフォン)。

 日本では、7月にMozilla Japanが開発用のレファレンス端末「Flame」を発売した(関連記事:Mozilla Japan、Firefox OS開発者向け端末「Flame」を7月28日に発売)。SIMロックフリー端末であり、税込み、送料込みで1万9980円と安価だったが、SoCは米クアルコムのSnapdragon 200、メモリーはROMが8Gバイト、RAMが1Gバイト、ディスプレイは854×480ドットと仕様は最低限であった。

 KDDIは10月に都内で開催されたFirefox OSの開発者向けイベントで、田中社長が12月発売を表明。ビデオレターでモザイク越しに端末を披露し、「ギークっぽく、デザインにこだわった」としていた(関連記事: KDDIがFirefox OSスマホを12月発売へ、田中社長が宣言)。

 今回、約束通りにKDDIが発売したFirefox OS端末は、半透明の外装を採用するなど、確かに他ではあまり見ない作りだ。ユーザーが独自のカバーを作成できるように3Dプリンター用のデータを提供するなど「いじる楽しみ」を全面に押し出している。

 ただ、そうしたいじる楽しみをプラットフォームを広げる力に育てるには、そのプラットフォームが継続されるという安心感が必要だ。本日掲載した、「KDDIのFirefox OS端末は、Windows Phoneの二の舞にならないか」で書かれているような懸念点にKDDIはどう応えるのか、興味深い。