2014年12月18日、au系のMVNO(仮想移動体通信事業者)であるKDDIバリューイネイブラー(KVE)が格安SIMサービス「UQ mobile」の提供を開始した(関連記事:KDDI子会社も格安SIMに参入、au回線を使い2Gバイト月額980円から)。

 au回線を使ったMVNOとしては、ケイ・オプティコムの「mineo(マイネオ)」に続くサービスとなる(関連記事:au系唯一のMVNO「mineo」の実力を試す)。

 UQ mobileのデータ通信はauの4G LTEを利用し、3Gデータ通信は使えない(音声通話は3G網を利用)。このあたりはmineoと同じ仕様だ。ただし料金はmineoよりも割安な値付けとした。月間のデータ容量2Gバイトまで、速度制限なしの「データ高速プラン」は月額980円(税別、以下同)。これに音声通話を加えたプランは月額1680円となる。このほか、最大速度を300kビット/秒に抑える代わりに容量制限のない「データ無制限プラン」も用意する。

 対するmineoは、全ユーザーに対して月間データ容量1Gバイトを増量する「1GBパケットギフトキャンペーン」を提供中とはいえ、正式な料金体系としてはUQ mobileよりも高い1Gバイトまで月額980円、2Gバイトまで同1580円という料金体系である。

 ところがケイ・オプティコムは、UQ mobileのサービス開始日である12月18日にmineoの値下げを発表した。2015年2月から、1Gバイトのプランは月額980円を同850円、2Gバイトのプランは同1580円を同980円といった料金体系に改める(関連記事:ケイ・オプティコム、格安MVNOサービス「mineo」を1GBで月額850円に値下げ)。

 値下げの発表をUQ mobileのサービス開始日にぶつけるなど、ケイ・オプティコムがUQ mobileへの対抗を強く意識しているのは明らか。早くもau系MVNO同士で価格競争が勃発した形だ。ユーザーとしては、提供事業者が増えることでこうした競争が起こることは歓迎である。今度は、KVEがどのような対抗策を打ってくるかにも期待したい。

 ところでau系MVNOといえば、mineoで、iPhone 6/同6 PlusやiOS 8以上にバージョンアップしたiPhone 5s/5cではデータ通信ができないという“事件”が起こったことが記憶に新しい。ではUQ mobileはどうなのか。

 結論から言えば、UQ mobileもiPhoneには利用できない。ただしそれは、UQ mobileが提供するSIMが「マイクロSIM」だけだからだ。iPhoneでは、iPhone 5以降はさらにコンパクトな「ナノSIM」を使う仕様になっており、一回り大きいマイクロSIMは物理的に挿入できない。このため、KVEによると「iPhoneは動作検証すら行っていない」という。

 では、マイクロSIMを使うau版iPhone 4Sはどうかというと、iPhone 4Sは4G LTEに対応していないため、やはりUQ mobileのデータ通信は利用できない(前述のようにUQ mobileは3Gデータ通信には非対応)。

 残念ながら、最新OSを使いたいau系iPhoneユーザーには、依然としてMVNOの選択肢はないのである。