スマートフォンやタブレットの企業導入が進んでいる。その導入形態として、一時期はBYOD(Bring Your Own Device)が話題になったが、最近はセキュリティ対策の難しさなどから、企業が購入して配布することが多くなっているようだ。「ワークスタイル改革にはBYODよりも“BYCD”」といったインタビュー記事もITproに掲載されている。

 この記事で言う“BYCD”(Bring Your Company’s Device)とは、企業が配布した端末を個人でも利用するCOPE(Corporate Owned, Personally Enabled)と同様の意味で使われている。

 個人の端末にせよ、企業が配布した端末にせよ、業務で使うからには使用ルールや情報漏洩対策が必要なのは当然で、既に導入している企業ではそれ以外にも多くのルールを設けているところがある。iPhoneを千台単位で導入したある企業の情報システム部長によれば、「端末を紛失した」といった届け出が後を絶たないという。そんな同社は端末を紛失した社員に一律2万円の“罰金”を課している。

 他にも様々な対策が多くの企業で実施されている。ある企業は、情報漏洩のきっかけになりかねない「Facebook」「LINE」といったアプリが業務で使うスマートフォンにインストールされたら、MDM(Mobile Device Management)でいち早く察知。該当アプリを削除するとともに、本人と上司にその旨が届く仕組みになっている。

 導入までの道のりも一筋縄ではいかない。スマートフォンやタブレットの導入は、「いつでも」「どこでも」業務が進められる環境を提供する一方、就業時間を問わずいつでも対応できてしまうことにもつながる。就業規則との関係などが問われるわけだ。前述の情報システム部長は、“労働強化”を懸念した労働組合と何度も打ち合わせをして、制度と齟齬がないようなルールを作りながら導入を進めたという。

 紛失した際の“罰金“制は他の企業からも聞いた。ある大手メーカー系SIerは紛失時の「過失度合」によって罰金額を変えているという。その中でも“重過失”に相当するのは、お酒を飲んで酔っ払いどこかに置き忘れてしまったケース。何かと飲む機会が増える年末年始。くれぐれも注意したい。