企業のセキュリティ対策の隙を突かれて起こった大規模な情報漏洩や、Webサイトへの攻撃が毎日のように話題になっている。様々な形態の被害があるのは知っていたが、その一つ「不正送金」の実態を知って驚いた。被害額が急増しているのだ。

 本日公開した記事、「[ボットネットと戦う1]不正送金にも悪用、その恐るべき実態」が引用している警視庁の数字を見ると、2013年上半期に2億1300万円だった被害額は、2014年上半期には18億5200万円にもなっている。件数もおよそ6倍弱と激増している。

 こうした不正送金にはウイルスが使われるケースが多い。昨今のウイルスは「ボットネット」を構成しており、攻撃者からの指令によって情報を収集したり攻撃したりするだけでなく、自分自身をアップデートして強化する。

 不正送金の被害が増えているのは、こうして手口が巧妙になっているだけでなく、インターネットを通じて金融機関を利用するユーザー層が広がったためでもあるだろう。どこに脅威が潜んでいるのか知らない人、あるいはそもそも脅威があることすら知らない人は、不正なプログラムやWebサイトへつながるリンクだと気付かずにアクセスしてしまう。

 これだけ被害が増えてくると、家族や友人など身近な人がいつコンピュータウイルスに出遭うか分からない。被害を防ぐには、脅威を知っている人がその存在や手口について周囲へ啓蒙することが重要だ。地道な対策ではあるが、手口がどんどん複雑になっている以上、まずは疑いの目を持ってもらうことが対策の第一歩になる。ここで紹介した「ボットネットと戦う」の続編は、明日、明後日と連続して掲載する予定だ。