バチカン図書館がNTTデータと共同で進めているデジタルアーカイブ事業の成果が公表され始めた。ボッティチェリの挿し絵が入ったダンテの「神曲」やルネッサンス期の「ウルビーノ聖書」など計8冊を参照できる(関連記事:バチカン図書館、ダンテの「神曲」など所蔵文献のWeb公開を開始)。

 ボッティチェリの挿し絵入りの神曲は15世紀の作で、元は羊皮紙に書かれたもの。当然、手に取ることはできず、ほこりっぽい香りもしないが、古い書物の雰囲気がよく出ていると感じる。NTTデータが手掛けたせいか(関連記事:バチカンとNTTデータ、想像を絶する交渉の舞台裏)、説明を英語、イタリア語のほか日本語で参照できるのもありがたい。

 神曲は日本でも数多くの訳書が出ているが、オリジナルに近い時期の書物(元は14世紀に書かれたといわれる)を見るのは、また一味違う体験だ。筆者が大学生の頃、所属していた大学にかなり古いネイチャー誌のバックナンバーがあり、南方熊楠の論文を見つけて感動した覚えがある。

 デジタルでもリアルに近い「バーチャルリアルな」感覚を与えてくれるデジタルアーカイブは、教育的効果の面でもより注目されるに違いない。