米アップルが2014年10月16日に発表会を実施するもようだ、と海外のWebサイトが報じている(関連記事:Appleの新iPad発表イベント、開催は10月16日の見込み)。この2年ほど、アップルはこの時期に新製品をリリースしている。2012年は「iPad mini」、2013年は画面解像度引き上げるなどの改良を施した「iPad mini Retinaディスプレイモデル」、薄型・軽量にした「iPad Air」である。

 iPadは、これまでタブレット市場の一つの「基準モデル」になっていたように思う。昔から様々なタブレット型端末は存在していたが、現在のタブレット市場を作ったのは初代iPadであると言ってもいいだろうし、タブレット市場全体の高解像度化の流れを固めたのも、「Retina」とのマーケティング用語で飾られた第3世代のiPadだ。ちなみにRetinaという言葉自体は第3世代iPadより前、iPhone 4から使われている。

 さてそのアップルが次は何を打ち出すのか。アップルの新製品が登場する前はいつものことだが、今回も新製品についてはさまざまな噂がある。現行ラインをマイナーチェンジして「ゴールド」のカラーバリエーションを増やす、指紋認証機能が付く、画面を大型化したiPadが登場する、などだ。一般消費者目線では、この内容だと単なる改良、派生品の拡充でありあまり面白くない。

 期待したいのは製品改良に合わせた法人向け新サービスの提供やプラットフォームの強化だ。iPhone 5sを一括導入した企業に取材したとき、指紋認証機能を一定のセキュリティを保ちつつロック解除を簡便にするものとして高く評価する声を聞いた。営業部門の人員に持たせる電子カタログ的な業務用端末として活用するために、大画面化を望む声もあった。

 7月にアップルはIBMとの提携を発表している(関連記事:アップルがIBMとの提携で得た技術、PaaSと「MEAP」)。世界的にはiPadの売れ行きが落ち込んでいると聞く。一般消費者向け市場だけでなく、法人市場向けにも「タブレット活用の基準」となるようなサービス/プラットフォームを打ち出して攻勢を掛けてくると面白い。