お盆明けの2014年8月18日、次のようなニュースがITproに掲載された。「インターネット接続のスマホを内線電話機にするソフト、日本エンタープライズが発売」というニュースだ。

 オフィスの内線電話システムは今やIP電話が主流。前述のニュースは既存のIP電話ソフト製品群のオプションとして提供されるものだ。スマートフォンの普及とともに、スマートフォンを内線電話の端末として使うソリューションは数多く登場している。

 「[企業ネット「新・三種の神器」3]スマホ内線電話でコスト大幅減」にも詳しく解説されており、通話コスト削減などの効果への期待も大きいが、スマートフォンを持っている人は多いにも関わらず、「スマホ内線」の普及はあまり進んでいないのが現状だ。

 この理由として、BYOD(Bring Your Own Devices、私的端末の業務利用)もしくはCOPE(Corporate Owned, Personally Enabled、業務端末の私的利用)といったスマートフォンの企業利用に関する整備があまり進んでいないことが挙げられるだろう。

 ただ、現状を見ると、進まない理由はもう少し単純な気がする。社内であっても内線ではなく、直接自分のスマートフォンから相手に電話してしまうからだ。忙しい相手をつかまえようと思ったらなおさら内線ではなく携帯に電話する。

 もちろん、前述のBYODやCOPEが整備できていないと、通話料金の負担はどうするのか、といった議論が出てくるのは承知しているが、一方で携帯電話、そしてその延長に出てきたスマートフォンの普及によって、個と個がつながりやすくなり、そもそも内線や外線といった考え方そのものが薄れてきているように感じる。

 少し大げさかもしれないが、携帯、そしてスマートフォンの普及は、これからの組織の在り方、企業の姿を変えていき、いずれは「内線」という言葉自体が使われなくなるかもしれない。