ユーザーがいないわけではない。複数のベンダーが存在し、それぞれ長く活動している。しかし、ブレークしているとは言いがたい。こんな状態が続くIT関連製品がいくつかある。「BRMS(ビジネスルール管理システム)」ソフトはその典型だろう。

 BRMSソフトは業務に関わる規則(ルール)を作成・管理し、利用できるようにするソフト。BPM(ビジネスプロセス管理)ソフトを補完する形で、複雑な業務プロセスの運用を効率化するのが狙いだ。日経コンピュータでは2006年ごろから記事で取り上げているが、いまだに知る人ぞ知る存在にとどまっている。ちなみにBPMソフトも、いまだブレークしていない製品の一つだろう。

 理由は様々あるが、製品の価格の高さがネックであるのは間違いない。多くが導入に数百万円以上かかる。そんななか、主要製品の一つである「Corticon」が90日間と期間限定とはいえ、無料で利用可能になった(関連記事:アシスト、BRMS評価版の無償ダウンロードサービスを開始)。

 かつてのAI(人工知能)ブームの主役は、BRMSのようなルールベースのシステム(エキスパートシステム)だった。知的活動の全てをルール化するのは無理があるにしても、ルールで表現できる部分もそれなりにある。AIが再び脚光を浴びるいま、ニューラルネットワーク(関連記事:IBM、2011年比4000倍の巨大ニューロチップを作成)を補完する意味でも、BRMS無償版の登場がルールベースシステムを見直すきっかけとなる可能性もある。