クラウドの中でも、最も業務に近いサービスを提供するのがSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)だ。アプリケーションそのものを提供してくれるので、「ああ、丁度それを開発しようとしていたんだ」と“ハマる”とき、利用価値は大きい。では、“ハマる”アプリとは何だろう。「HPとアシストがクラウドで提携、中小企業向けにHPのSaaSを販売」を読んで、少し考えた。

 提携の第一弾として、HPの運用関連ソフト「Service Manager」をSaaS向けに最適化して提供。その後、テスト工程管理ツール「Quality Center」や、負荷テストツール「Performance Center」のSaaS版を提供する計画があるという。運用やテストなどのソフトは使いこなしにノウハウが必要なことが多く、そうしたバックグラウンドのない中小企業にとって、SaaSは頼りになる。使いこなしにノウハウが必要だったり、あるいは一時的に使いたかったりと、中小企業が自前導入をためらうようなアプリが、従来の“ハマる”定番だった。

 ところが最近、資金もノウハウも十分ある大手企業が“ハマる”SaaSが増えている。例えば、自前のメールシステムを捨てマイクロソフトの「Office 365」に乗り換える、仮想デスクトップサービス「DaaS(デスクトップ・アズ・ア・サービス)」を導入するなどだ。どの企業にも必要で、しかも気合を入れて自社開発したところで競争優位につながらない。そんなアプリはSaaSで調達するほうが低コストという考え方である。SaaSにも「規模の経済」が浸透してきた。