昨年までの米アップルには考えらないことが起きている。アップルは次期OS「OS X Yosemite」のプレリリース版を一般向け公開する「OS X Beta Program」を開始した(関連記事:Apple、「OS X Yosemite」の一般向けベータ版を100万人限定で公開)。アップルのサービスを受けるときに必要となる「Apple ID」があれば申し込みができる。一般ユーザーにプレリリース版を公開することで、問題点をフィードバックしてもらい「すべてのMacユーザーにとってOS Xをより良いものにする」としている。スティーブ・ジョブズ氏がCEOのころは、秘密主義で情報公開を制限してきたアップルだが、明らかに変わってきた。

 実際、2014年6月以降、アップルはこれまでにはなかった施策を繰り出している。6月に開催された開発者会議「WWDC2014」では、終了後にこれまでは一般公開していなかったセッションビデオや資料のPDFを公開している(関連記事:スティーブの呪縛を逃れ、隠すより公開するメリットを選んだアップル)。これらの情報は、昨年までなら開発者契約を完了したIDによる認証がないと閲覧できなかった。

 2014年7月15日に発表された米アップルとIBMの提携もこれまでになかったタイプのものだ(関連記事:AppleとIBMが企業分野で広範な提携、iOSアプリの共同開発など)。アップルが苦手にしている企業分野へのサポートをIBMが担い、IBMにないモバイル系のハードとサービスをアップルが提供するという、お互いにメリットのある提携だが、少なくとも昨年までは想像できないものだった。

 クック氏がCEOに変わったのが2011年8月。それから、ほぼ3年が経過したが、ここにきてその真価を発揮し始めたと言えそうだ。