詰まるところ「ゲーム理論」とは何なのか
所長「名称は簡単でシンプルこの上ないものの、その内容ははなはだ高度というものが、世の中には多数あります」
榊田「ゲーム理論なんかその代表ですね」
所長「おっ榊田くん。予定調和的な受け答え、どうもありがとう。キミの言う通り、ゲーム理論の名称はあまりにもシンプルです。そのため、理論の中身を知らずして分かった気になりがちです」
榊田「なります、なります」
所長「そこへ、ゲーム理論とは何ぞや、などと問われると、それってゲームの理論のことでしょう、みたいな的はずれな答えになりがちです」
榊田「実際、そんな質問されたら答えに窮しますね」
所長「いえいえ。白金台ビジネス理論研究所の一員ならば、その程度の問いに窮してはいけません。私ならばこう答えましょう。ゲーム理論とは、複数の主体が個々の意思決定によって影響を受ける状況において、主体がどのように意思決定し行動するのかについて理論化したもの、と」
今から90年近くも前の1928年のこと、ハンガリーの数学者で後に米国に帰化するジョン・フォン・ノイマンが『室内ゲームの理論』という論文を著した。ゲーム理論はここから始まったと言ってよい。
ちなみにノイマンは、第2次世界大戦中に世界初の実用電子計算機となるENIAC(エニアック)の開発に参加し、また、のちには現代のコンピュータの基礎となるノイマン型コンピュータを生みだすのである。
その後ノイマンは、オスカー・モルゲンシュテルンとの共著『ゲーム理論と経済行動』を1946年に発表する。これがゲーム理論の基礎となった。
ゲーム理論が指す「ゲーム」とは、複数の主体が個々の意思決定によって影響を受ける状況のことだ。これを「ゲーム的状況」とも呼ぶ。そして、このゲー的状況の中で、主体がどのように意思決定し行動するのかについて理論化したものが、このゲーム理論に他ならない。