知っているようで知らないSWOTの開発者

所長「さて、本日のお題は皆さんよくご存知のSWOT(スウォット)についてです。ときに榊田くん、もちろんキミはSWOTって知っていますよね」

榊田「もちろん知ってます。企業の経営環境を自社の強みと弱み、機会と脅威から分析する手法です」

所長「ふむ、的確な回答でなかなかよろしい。もっとも、当研究所の研究員ならば、そのくらい知っていて当たり前。また、一般的なビジネスパーソンならばSWOTという言葉を一度ならずとも聞いたことがあるでしょうし、その意味についてもだいたい理解しているはずです」

榊田「かなり有名な言葉ですからねぇ」

所長「では榊田くん。このSWOTを提唱したのは一体誰ですか?」

榊田「えっ、SWOTの提唱者? うーん、そう言われるとSWOTという語が一人歩きしていて、開発者についてはあまり語られることがないですね。いったい誰なんですか?」

 さて、皆さんはSWOTの開発者の名をご存知だろうか。たぶん即答できる人は圧倒的に少ないのではないのではないだろうか。もっとも、開発者について触れる前に、念のためSWOTの意味について確認しておこう。SWOTとは、以下言葉の頭文字を取って作られた造語だ。

(1)強み(Strengths)
(2)弱み(Weaknesses)
(3)機会(Opportunities)
(4)脅威(Threats)

 そして、これら四つの要素を通して企業や事業、製品を分析し、経営戦略や事業戦略の策定に活用する。いわば戦略策定に欠かせない重要フレームワークがこのSWOTである。

SWOTの前身はSOFT分析

 実はこのSWOT分析、その元をたどるとSOFTと呼ばれる分析手法にたどり着く。このSOFT分析の開発の一人だったのが、米国の研究者アルバート・ハンフリーだ。

 ハンフリーは、マサチューセッツ工科大学やハーバード大学で修士号を取得した後、スタンフォード・リサーチ・インスティチュート(SRI)に勤務した。

 ハンフリーらの研究チームはこのスタンフォード時代の60年代から70年代にかけて、企業の戦略が失敗に終わる理由について研究していた。この研究の中で開発されたのがSOFT分析にほかならない。