今回も前回と同様、仕事の「上流」としての問題発見のフェーズと、「下流」としての「問題解決」のフェーズでの価値観やモノの見方の相違について見ていきます。今回着目するのは「情報や知識をストックと見るか、フローと見るか」という側面です。

価値はストックからフローへ移行

 インターネットと検索エンジンに加えて、UGC(User Generated Contents:一般ユーザーの作成したコンテンツ)の飛躍的な増大によって、私たちの情報や知識に対する概念は一変しました。従来の常識は、個人で「頭の中に詰め込む」もので、詰め込んだ知識量がその人の付加価値になっていました。ところが「ネット後」の世界では、そのような情報や知識は個人で常に「持ち歩く」必要はなくなり、ネット上に共有されている膨大な「データベース」から、必要なときに最新のものを入手して活用していく姿勢が求められます。

 例えば一昔前は、博識である人を「歩く辞典」(Walking Dictionary)という表現で敬意を表していましたが、重くて持ち歩くのも大変だった「辞書」は(スマホやタブレットという形で)簡単に24時間どこにでも持ち歩くことが可能となり、(ただ断片的な知識だけを持っているという意味での)「博識であるだけ」の付加価値の相対的重要性は下がっていく一方です。

 誰でも膨大な情報や知識にアクセスが可能となった世界では、そのような膨大な情報や知識という「過去の蓄積」を利用しながらも、いかにそこを脱して、インターネットやソーシャルネットワーク他のソースから、簡単に利用可能になった知識や情報をいかに「使いこなせるか」の方が重要になってきます。

 このような世界では、これまでの蓄積をそのまま右から左へ「コピぺ」しているだけではほとんど付加価値がないのです。つまり価値観がストックからフローへ移行してきているということです。