前回はシステム案件の「上流」と「下流」におけるカルチャーの違いについて紹介しました。引き続き今回も「上流と下流」の価値観の違いについて解説します。

 「下流」におけるシステムの構築段階においては「チーム力」や「組織力」といった総合的な組織の力が必須になりますが、上流に行けばいくほど、特定の個人の力や創造性が重要になってきます。そこで明確な価値観のシフトが起こります。その典型的な例の一つが仕事の属人性、つまり仕事の内容が特定の個人に依存するかどうかについての考え方です。

「属人的は良くない」は下流の仕事の価値観

 まず「仕事が属人的である」という言葉を聞いてどのように感じるか、これで「上流の人間」か「下流の人間か」がすぐに分かります。大多数の人は、「仕事が属人的であって良いはずがない」と思うのではないでしょうか? これは典型的な下流の仕事の価値観です。

 組織で仕事をしている限り、仕事が特定の個人に依存するのは「百害あって一利なし」でしょう。組織は、適性に役割を分担し、仕事がある程度標準化されていなければなりません。特定の個人の仕事に依存するということは、品質がばらつき、なおかつその人が病気になったり組織を離れてしまった場合に仕事が回らなくなってしまいます。

 従って、「組織的に仕事をする」ために「仕事の属人性を排除すべきである」というのは、いわば「常識」と考えられます。