「[1]秘密主義が使い勝手を損ねている」の回でも述べたように、iOS 8はまだ完全体ではない。iOS 8が完全な機能を発揮するのは米国時間2014年10月16日の新製品発表イベント以降のアップデートを受けてからになりそうだ。

 Appleは「完全体のiOS 8」を擁して、米国の商戦期である11月末の感謝祭(サンクスギビング)からクリスマスにかけての期間を迎えることになると予測している。AppleにとってiOS 8とはどのような意味があるだろう。3点を考えてみた。

デバイスの自由度が増す

 1つ目は、デバイスの自由度の向上だ。

写真1●iOS 8に対応したデバイス群。様々なディスプレイサイズがある(出典:AppleのWebサイト)
写真1●iOS 8に対応したデバイス群。様々なディスプレイサイズがある(出典:AppleのWebサイト)
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 最新のiOS 8で動作するiPhoneシリーズは、かつてないほどの画面サイズのバリエーションがある(写真1)。3.5型のiPhone 4s、4型のiPhone 5・iPhone 5c・iPhone 5s、そして4.7型のiPhone 6と5.5型のiPhone 6 Plusだ。これにタブレットのiPad miniとiPad Airを追加すると、8種類のディスプレイサイズが存在するようになった。

 現在、一部のアプリを除き、大きな画面サイズのiPhoneにおいては単純な拡大のみで画面サイズに最適化されていない。開発者側から見れば、iOS 6のころから3.5型と4型のiPhoneが混在していた経験がある。少し時間がかかるかもしれないが、多様な画面サイズへの対応は今後進むだろう。

 画面サイズがデバイスの形を決めるスマートフォンやタブレットにおいて、画面サイズへの対応は、デバイス多様化への対応を意味する。もちろんAppleがその自由度をすぐに行使するとは考えにくく、当面、これ以上画面サイズのバリエーションが増えることはないだろう。だが、iOS 8以降、様々な可能性が広がることになる。