「[1]秘密主義が使い勝手を損ねている」の稿で指摘した通り、完全な形ではないiOS 8ではあるが、筆者が注目している5つのポイントを紹介したい。十分に試すことができていない機能も含まれている点はご了承願いたい。

(1)メッセージの強化とファミリー共有

写真1●iMessageの紹介(出典:AppleのWebサイト)
写真1●iMessageの紹介(出典:AppleのWebサイト)
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 1つ目は、メッセージアプリの強化だ。

 ご存じの通り、ユーザー数が世界最大のモバイルメッセージアプリは「WhatsApp」で、米Facebookに買収されている(関連記事:Facebook、メッセージングアプリ「WhatsApp」を約160億ドルで買収へ)。そのFacebook自身も独自のメッセンジャーアプリをリリースしており、手軽なメッセージのやりとりが可能だ。日本からはLINEが登場し、日本国内においては、それまで使われてきたケータイメールから、「スマホ時代のデファクトスタンダード」のツールとして置き換えに成功しつつある。

 スマートフォンでのメッセージングは、特に欧米では、1通ごとに料金がかかっていたText(SMS)の課金を避けることが、普及の大きなきっかけになった。一方、日本ではMNP(携帯電話番号ポータビリティー)制度によってケータイのメールアドレスが頻繁に変わる。SMSの課金を避けながら電話番号でメッセージを送受信できる各種メッセンジャーは、ユーザーにとってメリットが大きく、受け入れられやすかった。

 しかし同時に、プライベートな内容を送り合うメッセージングは、たびたびセキュリティ上の懸念に見舞われる。日本でもLINEが乗っ取られてしまう事件が未だに続いており、必ずしも信頼できるツールとは言えない(関連記事:スマホ版LINEのPINコード設定が義務化、不正ログインの被害拡大防止)。

 そこでAppleはOSに標準搭載するメッセージサービス「iMessage」を発展させてきた(写真1)。電話番号さえ分かれば課金を避けながら利用できるものだ。iOS 8のiMessageでは、より手軽に音声や写真、ビデオを添付できるようになった。また、複数人のグループで利用する際には、そのグループで送られた写真や位置情報を共有できる機能などが追加された。

 さらに「ファミリー共有」も意欲的な機能だ。家族に課金する際の支払いを、父親のような代表者のクレジットカードにまとめることができる。誤課金を防ぎながら、写真や位置情報の共有し、そして購入済みのコンテンツを共有できるのだ。メッセージングに家族という単位を持ち込むことからは、「友人や家族とともにiPhoneのエコシステムの中に入ってきてもらいたい」というAppleの意図が見えてくる。