米ベライゾンのWebサイト
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 米大手の通信事業者ベライゾンが2015年エンタープライズテクノロジーのキートレンドを発表した。同社が通信事業者だからというのもあるが、同社ではビジネス成功のカギはネットワークの高信頼性と革新性にあり、さらに、IoTがネットワークのダウンストリームを加速するともいう。

 ベライゾンといわれても、日本ではあまりなじみがないかもしれないが、地球上の通信の68%は同社を通ると言われているほどの大手事業者だ。同社は、クラウドがパブリックかプライベートかといった議論は、すでに終焉しているとし、セキュリティにしても、IoT時代のセキュリティホールは無数にあり、それらを階層的に解決していく必要があるともいう。

 インテルもまた、この10年間で、センサーの価格は1/2に、ネットワークの価格は1/40に、そして、プロセッシングの価格は1/60に下落したとし、IoT時代のプラットフォーム整備にむけてさまざまなチャレンジを計画している。先日発表された同社のIoTゲートウェイは、85%の未接続機器を接続するともいう。今、15%のデバイスがインターネットにつながっているそうだが、その残りが85%というわけだ。こうした機器、そしてプラットフォームにより、エコシステムを含めたエンド・ツー・エンドの環境を構築していこうとしている。

TRONがIoTの波に乗る

 一方、30周年を迎えたTRONは、これからこそTRONの時代と鼻息も荒い。ネジやクギのメーカーが公表されないのと同じで、縁の下の力持ち的だった同OSだが、30周年を迎えたことで、そのお披露目的意味もあり、記念シンポジウムでは、ニコンのカメラがずっとTRONを使ってきたことも公になった。リアルタイムOSであるTRONなしでは、オリンピックの決定的瞬間の撮影は無理だったともいわれている。

 IoTの時代に向かって、さまざまなことが変わろうとしている。そんな中で、WindowsのようなクライアントOSは、何を担っていくべきなのか。Windowsなしでは仕事にならない状況は当面続くだろうけれど、その次のことを考えていかなければ企業のITを預かる立場としてはまずいのではないか。守るだけではダメなのだ。

山田 祥平(やまだ しょうへい)
フリーランスライター
1980年代、NEC PC-9800シリーズ全盛のころからパーソナルコンピューティング関連について積極的に各紙誌に寄稿。Twitterアカウントは @syohei