「Windows Software Assurance (SA) per User」を含めた法人向けの統合ライセンス「Enterprise Cloud Suite(ECS)」ではすべてがデバイス単位からユーザー単位に変わる。上の画像は日本マイクロソフトのサイトから
「Windows Software Assurance (SA) per User」を含めた法人向けの統合ライセンス「Enterprise Cloud Suite(ECS)」ではすべてがデバイス単位からユーザー単位に変わる。上の画像は日本マイクロソフトのサイトから
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 マイクロソフトがWindowsについて法人向けの新しい包括ライセンスの提供を開始する。「Windows Software Assurance per User」がその新ライセンスだ。これまでのライセンスがデバイス単位であったのに対して、こちらはユーザーに対してWindowsをライセンスする。250台以上の企業向けライセンスの1メニューとして、また、新規の場合も250人以上のユーザーなら契約ができる。

 今回は、大企業向けだが、これは、これから始まる同社の次世代ライセンス形態変革の皮切りになるという。近い将来は、SMB規模のライセンスに対しても、この形態が提供されるようになるようだ。

 これまでのシステム管理は、時間、場所、デバイスという3つのF(Fixed)で成り立っていたとマイクロソフトはいう。それが今までのワークスタイルであり、管理しなければならないのは一定の枠内、つまり、セキュリティ境界の内側のみでよかった。

 ところが、今は違う。時間、場所、デバイスという3つのA(any)が求められているというのだ。オフィスワーカーは、プライベートな時間であっても、移動中、自宅、カフェ、レストランなど、あらゆるパブリックな場所から社内のリソースを利用するようになる。しかも、会社から支給されているPC以外に、個人所有のタブレットやスマートフォンを使うようになってきている。

管理者から見るとリスクはさらに広がるのだが…

 管理者にしてみれば、セキュリティの境界線はどんどん広がり、はるか雲(クラウド)の先まで拡がることになる。しかも、個人や部門単位の勝手導入なども行われ、セキュリティリスクは高まるばかりだ。ライセンスをユーザー単位にし、私物デバイスを含む複数台のデバイスを柔軟に管理できるようにすることで、そのリスクを軽減しようということか。

 いずれにしても、デバイス単位からユーザー単位へという転換は、これまでのマイクロソフトのビジネスを根底からくつがえすものだといってもいいだろう。デバイスが何台あっても、使う人間がひとりならライセンスもひとつでいいというのは、これからのWindowsの在り方に少なからず影響を与えることになるだろう。

山田 祥平(やまだ しょうへい)
フリーランスライター
1980年代、NEC PC-9800シリーズ全盛のころからパーソナルコンピューティング関連について積極的に各紙誌に寄稿。Twitterアカウントは @syohei