日本マイクロソフトが、日本市場におけるクラウド事業強化の一環として、「Microsoft Azure」に加え、「Microsoft Office 365」、「Microsoft Dynamics CRM Online」を日本国内のデータセンターから提供開始すると発表した。同社にとっての「クラウド三兄弟」を、これですべて、東日本と西日本にあるデータセンターが担うことになる。これによって、規制等で国内にデータを保管することが要件とされている一部顧客へのパブリッククラウド利用の道を開き、移行促進を加速すると同社はいう。
こうしてパブリッククラウドを活用するときに考えなければならないのは、サービスと自社を結ぶ回線の帯域幅だ。海外にサービスがある場合は、その接続帯域がボトルネックになってしまうために国内回線部分の帯域を広くするのはコストもかかるし、できたとしても大きな効果を得るのは難しかった。ところが、日本国内に利用しているサービスのデータセンターがあれば、国内回線部分の帯域をフルに活かせるようになる可能性がある。バックアップなどで大量のデータを転送しなければならない場合に要する時間も大幅に短縮できるかもしれない。
オンプレミスからパブリッククラウドに移行する通信回線の問題
そもそも、ネットワーク帯域というのは1Gbpsを独占できたとしても、125MB/秒として、1時間あたりにするとたかだか450GBだ。1TBを転送するのにどう少なく見積もっても2時間以上かかる。実際にはもっとかかるだろう。仮に1TB以上のデータを東京から大阪に運びたいなら、メディアを持って新幹線に飛び乗った方が速いといった笑い話もある。新幹線や飛行機のビットレートは高速光回線よりも速いというわけだ。
オンプレミスをパブリッククラウドに移行する場合、まずは、最初に膨大な量のデータをクラウド側にコピーする必要がある。何事もゼロからはじめるのは容易だが、既存環境の移行にはさまざまなハードルがつきまとう。それをどう解決していくか、ネットワーク管理者の悩みはつきない。
フリーランスライター